【2024年以降の廃線】廃止が危ぶまれる鉄道路線

廃線・新線予定

廃止が危ぶまれる路線をまとめました。

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廃止が危ぶまれる路線の地図

黄色丸・実線:廃止が確定した路線

灰色丸・破線:廃止が危ぶまれる路線

タイトル
現在、地図上に大井川鐵道・美祢線・吾妻線は示していません。(今後掲載予定)

廃止が検討されている主な路線を報道ベースで北から順にまとめています。

なお、現行会社において廃線を検討するような路線であっても、利用者が多かったり、自治体による財政支援が続いているなどして、転換を含めて今後も運行が継続される可能性が高い路線は省いています。(当サイト判断)

JR函館本線(新函館北斗〜長万部)

廃止の危機レベル(独自評価)

かなり高:旅客利用は廃止される可能性が十分考えられるが、2030年ごろまでは維持される見込み。

運営JR北海道
路線函館本線
区間新函館北斗〜長万部 非電化
藤城支線(七飯〜大沼)非電化
砂原支線(大沼〜森)非電化
輸送密度1,636人/日 (2021年)
状況検討中(運行中)

・新幹線の並行在来線として、JRから経営分離されます。

今後

・新幹線に利用が移るであろう特急列車を除いた旅客利用が非常に少ないため、現行のスキームで地元が引き取ることが困難とされています。

・しかし、貨物列車の列車の通過が多いため、簡単に廃止ができません。JR貨物も引き受けるにも、路線が長いため維持が難しく、「廃止にはできないが誰も費用を負担したくない」という状況が続いています。

・現時点では何らかのスキームで貨物専用になる可能性が高くなっています。

・函館〜新函館北斗は、近年電化されたばかりで、新幹線と市街地の接続路線を担っているため、廃止されない見込みです。

・なお、道南いさりび鉄道(木古内〜五稜郭)も、同時期に貨物専用線になる可能性が否定できません。

JR津軽線(蟹田〜三厩)

廃止の危機レベル(独自評価)

かなり高:既に災害で不通。デマンド交通の利便性向上に力を入れており、これで代替か。

運営JR東日本
路線津軽線
区間蟹田〜三厩(28.8km)大半が非電化
輸送密度(中小国〜三厩)98人/日 (2021年)
状況長期運休中(協議中)
備考蟹田〜中小国の1駅は交流20kV、
その先の新中小国信号場から海峡線方面は交流25kVで電化されている。
ただ、通過する定期旅客電車はない。

・2022年の大雨による災害で長期運休中です。2023年に自治体と協議に入りました。

・この区間の利用客はとても少なく、JR東日本では数少ない盲腸線(行き止まりの路線)です。

・竜飛岬に向かうにはバスでの乗り換えが必須で利便性に落ちます。観光列車「リゾートあすなろ竜飛」も定着しませんでした。

今後

JRはデマンドタクシー等での代替で十分としており、鉄道としての維持に否定的です。

災害からの復旧費用は6億であり、復旧には行政の協力が不可欠です。

少なくとも津軽二股(=新幹線 奥津軽いまべつ駅隣接)〜三厩は、沿線自治体も厳しいと判断している模様です。蟹田〜津軽二股は峠越えの区間で自動車交通が不便なため、復旧を求めている自治体もありますが、この区間が主だった被災区間であり、復旧費という観点からはあまり変わらなさそうです。

なお、蟹田〜新中小国信号場の6.7kmは、青函トンネルに向かう貨物列車が通過するため、青函トンネルの貨物列車が廃止されない限り、事実上の貨物専用線として残る見込みです。

弘南鉄道大鰐線(中央弘前〜大鰐)

廃止の危機レベル(独自評価)

非常に高:利用者減少が激しく、危機が続いている。早ければ2025年度末までか。

運営弘南鉄道
路線大鰐線(全線)
区間中央弘前〜大鰐(13.9 km)電化
状況運行中(協議中)

・もともと大鰐線の利用は少なく、もう一つの弘南鉄道の路線である弘南線の収益によって運営されていました。

・弘南線の利用者も減少傾向にあり、現在は、自治体による補助でなんとか運営しています。

・弘南鉄道は2013年に大鰐線の廃止を言及しましたが、撤回された過去があります。

・使用する車両は非冷房の東急7000系であり、製造から60年近く経つなど、老朽化も著しくなっています。今後、車両や人的リソースを弘南線に集中させるという判断を取る可能性は十分考えられます。

・2023年8月には脱線事故が発生し、2023年9月には線路点検のために数ヶ月に渡り全線で終日運休を強いられるなど、保守体制にも不安が募ります。

今後

・沿線自治体は2023年度の利用状況を鑑み、収支改善が見られなければ補助が打ち切られる予定です。補助がなければ運営は困難ですので、廃止が見込まれます。

・今年度の利用状況は長期運休もあり、絶望的です。沿線自治体の議員からも、廃止は仕方がないという声が出ている状況です。

JR米坂線(今泉〜坂町)

廃止の危機レベル(独自評価)

:災害で長期不通。復旧には多額の費用がかかる。

運営JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)
路線JR米坂線
区間今泉〜坂町(67.7km)非電化
輸送密度今泉〜小国 226人/日
小国〜坂町 124人/日
(2021年)
状況長期運休中

・2022年8月豪雨の影響で、長期不通となっています。

・もともと利用客が少ない路線ですが、復旧には5年の工期と、86億円かかると見込まれ、少なくともJR単独の復旧に難色を示しています。

今後

・関係者間の状況は流動的で、今後の見通しは立っていません。逆に言えば復旧の可能性を模索している状況とも言えます。

JR吾妻線(長野原草津口〜大前)

廃止の危機レベル(独自評価)

:末端部は特急の運行せず、利用客が少ない。自治体との協議入りか。

運営JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)
路線JR吾妻線
区間長野原草津口〜大前(13.3km)電化
状況運行中(協議予定)

・かつて特急列車が万座・鹿沢口まで運転していましたが、2017年以降は行われておらず、長野原草津口発着となっています。

JR久留里線(久留里〜上総亀山)

廃止の危機レベル(独自評価)

やや高:利用者が極端に少ない。末端部は自治体との協議入りか。

運営JR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)
路線JR久留里線
区間久留里〜上総亀山(9.6km)非電化
輸送密度55人/日 (2021年)
状況運行中(協議予定)

・JRでも屈指の赤字路線です。営業係数(100円の収入を得るために必要な経費)が19,110(2021年)という大赤字を出しています。

・首都圏から近い房総半島のJR各線ですが、アクアライン利用の自家用車が便利なこともあり、長らく苦戦しています。

今後

・報道では、JR東日本が今後自治体に協議を打診する方針とされています。

・久留里線はJR東日本で数少ない盲腸線で、特に末端区間は本数も少なく、利用者もわずかです。路線バスで代替しても問題ないと判断されそうです。

JR大糸線(南小谷〜糸魚川)

廃止の危機レベル(独自評価)

:利用者が少ない。今後、議論される可能性が高い。

運営JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)
路線大糸線(大糸北線)
区間南小谷〜糸魚川(35.3km)非電化
輸送密度55人/日 (2021年)
状況運行中(協議予定)

・バブル期はスキー客の利用が多く、かつては夜行列車「シュプール号」が走っていました。

・しかし、新幹線や夜行バスでの移動が主流になり、スキー人気も下火になる中で、ここ30年での大糸線の利用客の「減り方」は劇的なものになっています。

今後

・北陸新幹線の開業により北陸本線が経営分離したため、JR西日本の在来線としては最も孤立した路線となっています。経営効率の観点からも、この区間の切り離しを行う可能性が報道されています。(近隣の在来線である城端線・氷見線は3セクに移管が決定。高山線も移管の可能性が報道されている。)

・なお、大糸線の南小谷以南はJR東日本が運営しています。南小谷まで特急「あずさ」が毎日直通運転しています。

大井川鐵道大井川本線(川根温泉笹間渡〜千頭)

廃止の危機レベル(独自評価)

:大規模な災害な一方で、日常利用者が少なく、復旧への動きがあまり見られない。

運営大井川鐵道
路線大井川本線
区間川根温泉笹間渡〜千頭 電化
状況長期運休中

・2022年9月の台風の影響により線路が寸断され、一部区間で運転を見合わせています。

・大井川鐵道自体、SLを中心とした観光利用に大きく依存した路線であり、従来より普通列車は縮小傾向でしたが、被災後はさらに減便を行なっています。2023年10月以降は新金谷〜家山の普通列車は4往復です。(その他、追加料金不要の優等電車あり。)

・運休区間における普通列車の代行バスも終了しています。(コミュニティバスやSL連絡バスは運行)

今後

・復旧させるなら「観光客のため」という状況でもあり、急ぎで復旧させる必要性が低いとみられ、自治体などとの協議も目立った進捗はありません。被害規模が大きく、大井川鐵道単独での復旧は困難とみられています。

JR芸備線(備中神代〜備後庄原)

廃止の危機レベル(独自評価)

かなり高:廃止対象の筆頭。一方、自治体は反発。新制度の「再構築協議会」で協議入りへ。

運営JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)
路線芸備線
区間備中神代~東城(18.8km) 非電化
東城~備後落合(25.8km) 非電化
備後落合~備後庄原(23.9km) 非電化
輸送密度(備中神代~東城)80人/日 (2021年)
(東城~備後落合)13人/日 (2021年)
(備後落合~備後庄原)66人/日 (2021年)
状況運行中(「再構築協議会」設置)
※参考 備後庄原~三次(21.8km) 非電化 312人/日 (2021年)

・路線全体で見ると広島近郊の利用客がとても多い関係上そこまでの閑散路線には見えませんが、区間を区切るとJRで最も利用客が少ない路線となります。

・本数が少ない上、非常に速度も遅いため、この路線を乗ることを目的とした観光目的ではない限り、利用がほとんどない区間もあります。

今後

・不採算路線を多く抱えるJR西日本としては手放したいように見受けられますが、自治体が反発を繰り返していました。

・JRは2023年10月に新たにできた「再構築協議会」の制度を利用し、国に仲介をしてもらう形で、協議をスタートさせます。2024年1月に再構築協議会が設置され、以降、概ね3年かけて、利用促進か廃止かが議論されます。

・JRは極端に利用が少ない備中神代〜備後庄原の廃止を検討しております。

・備後庄原〜三次も利用客は少ないですが、通学利用者が多くいるほか、時期によっては広島からの臨時直通列車も運行される区間であり、反発が広がることも考慮して直近の廃止を避けていると見られます。

・一方、広島県は全線を議論の対象とするべきとしています。これは、利用者の多い広島市付近との一体性を主張するものと見られます。

・なお、三次〜広島は利用者が比較的多く、毎時1本程度走っており、廃止の可能性は低いです。

JR木次線(出雲横田~備後落合)

廃止の危機レベル(独自評価)

かなり高:観光列車が廃止予定。利用者減は確実か。

運営JR西日本(西日本旅客鉄道株式会社)
路線木次線
区間出雲横田~備後落合(29.6km) 非電化
輸送密度(出雲横田~備後落合)35人/日 (2021年)
状況運行中(協議には入っていない)

・出雲横田〜備後落合は急勾配区間となり、3段式スイッチバックやループ線など魅力的な区間があります。

・ただ、日常利用は皆無に近く、採算は極めて厳しい状況です。

・人気のトロッコ列車「奥出雲おろち号」も、車両老朽化で2023年を持って引退しました。

・後継の観光列車「あめつち」は車両性能上、急勾配区間が運転できず、出雲横田〜備後落合は運転できません。

・冬季には、積雪がある場合は除雪をせず、春先まで長期運休としてタクシーによる代行輸送にすることも多いです。

今後

終点の備後落合は芸備線のみと接続する山奥の駅です。

芸備線が廃止される場合、当然当路線の今後も厳しいものと見られます。

JR美祢線(厚狭〜長門市)

廃止の危機レベル(独自評価)

やや低:災害で長期不通。

運営JR西日本
路線美祢線(全線)
区間厚狭〜長門市(46.0km)非電化
状況長期運休中(協議中)

・災害で長期不通区間です。

今後

・山口県知事は復旧させたい意向ですが、JRはまずは河川の改修を前提とするとし、復旧の明言を避けています。復旧するならば、上下分離など自治体負担が出てくるものと見られます。

そのほか

JR四国の予土線(全線)・予讃線(海回り 向井原〜伊予大洲)・牟岐線(阿南〜牟岐〜阿波海南)についても、自治体と存廃を含め協議されると報道されています。上下分離を含め、自治体の支援による存続も考えられるため、現段階で廃止まっしぐらまでとは言えません。

乗りに行くには?

思い出に残すために、カメラを持っていくのはもちろんですが、他にも注意点があります。

  • 廃止直前の時期は混雑します。少し早めに行きましょう
  • 大雪などで旅行当日にダイヤが乱れる場合があります。あらかじめ余裕を持った日程を持ちましょう。沿線に宿泊するのもおすすめです。
  • 乗車券に記念下車印を押してもらう場合は、フリーきっぷではなく通常のきっぷを使いましょう。
  • スタンプ帳の買い忘れはありませんか?廃止駅のスタンプを押すためにも、あらかじめ買っておきましょう。

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